東武東上線「朝霞駅」南口より徒歩2分のあさか心のクリニックは予約制です。事前に048-458-5561までご連絡ください。

映画「英国王のスピーチ」の話

英国王のスピーチという映画がありました。
幼いころから吃音(どもり)に悩んでいた英国王子ヨーク公(後の英国王ジョージ6世)は、父である国王から国民に語りかける必要性を説かれ、ラジオ放送で話すことをのぞまれるのですが、吃音のためにそのたびに失敗し自信を失っていました。吃音のあらゆる治療を試したもののうまくいかず、オーストラリア人の言語聴覚士のライオネル・ローグのもとをたずねます。治療には信頼と対等な立場が必要だというローグは、王子に対してお互い愛称で呼び合うことを求め、ヘビースモーカーのヨーク公に診察室での禁煙を強要します。反発しながらも治療は続いていきますが、ヨーク公は個人的な話をすることは嫌がり、心を閉ざしていました。

ですが、あるきっかけで、実は威圧的な父から厳しくしつけられ、さまざまな強制を受けていたこと、乳母から愛されなかったこと、孤独で友達もいなかったことなどが語られるようになり、その後の紆余曲折はあるものの、ローグはヨーク公にとっての友のような関係になり、ヨーク公がやがて国王となり自分を解放し自分の道を行くことをサポートする。そういうお話でした。

医者と患者において、お互いに信頼し対等な関係をつくることは大変なことです。医者だけが努力しても難しいし、患者さんが依存し過ぎても成立しません。両者が一緒につくりあげることでようやく出来上がるものです。ただ、もしそれが出来上がるなら、どんな薬よりそれぞれを変えていく力があると信じています。